☆中学校☆

 

●最優秀賞

『「いやだなあ」と思わないで 』 鹿沼市立南押原中学校 2年 渡邊 琴心


 私の歯は、むし歯が一本もありません。先日行われた学校の歯科検診では、「きれいな歯だね。いつまでも大切にしてね。」と歯医者さんに言われました。私はずっと「歯医者さんはむし歯を治療するところ」だと思っていました。歯医者さんにしてみたら、むし歯がないということは、患者さんが減ってしまって、困ってしまうのではないでしょうか。 でも、よく考えてみると、むし歯のない私でも、歯医者さんにはいったことがあります。私が、まだ小学校に上がるか上がらないかくらいの時に、乳歯を抜くために行きました。噛み合わせを診てもらうために行ったこともあります。その時だったと思いますが、汚れのたまりやすい場所を教えてもらい、歯磨きのしかたを習いました。また、フッ素というものを歯に塗ってもらったこともあります。そうすると、むし歯を治療するだけが歯医者さんの仕事ではないことに気づきました。内科や外科のお医者さんは、病気の治療だけでなく、病気を予防して健康を保つために仕事をしています。歯医者さんは、むし歯の治療をするだけでなく、むし歯を予防して歯の健康を守るための仕事をしているのだと思いました。
 フッ素を塗ってもらった時には、歯医者さんからフッ素の説明を受けました。フッ素というのは、むし歯になりにくくする効果があるのだそうです。むし歯予防のためだったのかと考えると、今、私の歯にむし歯がないのは、歯磨きのしかたを考えてもらったこととフッ素のおかげかもしれません。フッ素をもっと使うことができれば、すごくいいのではないかと思っていたら、外国では、フッ素を水道水に混ぜているところもあるという話を聞いて、非常に驚きました。口の中に塗るくらいですから害はないと思いますが、飲んでしまう水にフッ素を混ぜてしまうというのです。水道の水はお風呂やトイレにも使います。住んでいる人の口に入る水は、水道水全体の割合からするとあまり高くないはずです。そこまでしてむし歯を予防する意味とは、どんなものなのか、改めて考えてしまいました。それだけ、むし歯の予防や歯の健康が重要だと思われているのです。
 日本では、水道にフッ素を混ぜてはいないかわりに、歯医者さんを中心にむし歯予防の取り組みがなされています。8020運動というのだそうです。私たちが年をとって80歳になった時に、自分の歯をニ十本保てるようにする運動だそうです。私は自分が八十歳になった時のことを想像したこともありませんでした。想像しようとしても、何も浮かんできません。今から八十歳になった時のことを考えようとしても難しいです。
 8020運動は、そんな私たちにもわかりやすく、小さい時から歯を大切にしていこうとしている運動なのです。八十歳になっても自分の歯を健康に保つということは、元気に生活をしていくことにつながります。今の私にむし歯がないのは、もう一つ、小さいころから「歯を磨きなさい」と言ってくれたり、歯医者さんに連れて行ってくれたりした、親のおかげでもあると思いました。その時は、「うるさいなあ。」とか、「いやだなあ。」と思っていましたが、今考えると、感謝の気持ちでいっぱいです。自分ひとりでは、むし歯ゼロにはならなかったことに気づいたからです。自分を助けてくれた周囲の人に感謝して、これからもむし歯がないように、自分の歯を大切にしていきたいです。